Appleが、4月10日(金) より販売を開始した「MacBook (Retina 12-inch, Early 2015)」を使用して3日ほど経過した。
私はメインマシンとして利用するために、これまで使っていたMacBook Pro (Retina, Mid 2012)からのデータをこのモデルに復元し、新しいMacとのかかわり合いを模索しつつある。
これまでの約3年間、15インチのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルを使用し続けてきたということ、そしてMacBook Air 11インチモデル (Mid 2013)をサブマシンとして使っていたことを大前提に、MacBookをメインマシンにしようとしている状況だ。
その中で、ほぼファーストインプレッションとしてMacBookに感じたことをカテゴリ別に書き留めたいと思う。
現在、MacBookの購入を検討している人の参考になれば幸いだ。
Retinaディスプレイ
MacBook Pro Retinaディスプレイの15インチモデルの解像度は2,880×1,800ピクセルの220ppiだった。
新しいMacBookは2,304×1,440ピクセルの226ppiで、ディスプレイサイズ分だけ解像度こそ違えど、密度はMacBookのほうが高い。そのためか、MacBookを使っていると、このサイズ感のMacにRetinaディスプレイが搭載された感動を改めて実感する。
また、11インチMacBook Airが16:9のアスペクト比で作業領域が狭かったため、他のMacBook Proなどと同じ16:10の比率を持つMacBookは、そのディスプレイのコンパクトさを気にさせることがなく使用できるのも都合が良い。
ディスプレイは非常に薄い。Appleによるとディスプレイは0.88mm、ガラスは0.5mm。視野角は広く178度。
このディスプレイは、RetinaのコンパクトMacBookを待ち望んでいたユーザーの期待を裏切るまい。
MacBookの性能
私が購入したモデルは1.2GHzのIntel Core Mプロセッサに512GBのSSDが搭載された上位モデル。Apple Storeでは更にCTOを施した1.3GHzのUltimateモデルが存在するが、現時点でApple Retail Storeには並んでいない。
さて、発表当時から言われていたMacBookのスペックに関する懸念はどうなのだろうか。実はこの機種をメインマシンとして利用する計画を立てたとき、その1点が不安だった。
結論から言うと私のようなライトユーザーには問題ない。こうして文字を書いたり、メールのファイルを開いたり。または「写真」で写真を管理したり、編集したり、書き出したり。iTunesで音楽を聴いたり、映画を観たり。
ただ、こうした作業に加えてムービーを扱うとなると、話は変わるかもしれない。
私が使っていたMacBook Pro Retinaディスプレイモデルでさえ、iMovieでのムービー編集はサクサクとは言えなかった。もともと重たいんだから、きっとMacBookでバリバリ動画を扱うのは向かないのだろう。
なお、スピーカーの音質は、MacBook Pro Retinaディスプレイに比べるとクリアではない。なんだか篭っている感じがある。
MacBook Airと比べると、同等程度といったところ。
新しいキーボード
MacBookは新しいバタフライ構造のキーボードを搭載している。
これは、一組の部品でキーの両側を均一に支えることで安定的なキータッチができるというものだ。
そしてキーボードのストロークがとても浅くなり、薄くなった。
ストロークには賛否が分かれそうだ。ただ、もともとAppleのMacはたびたびキーボードを見直し、どんどんストロークは浅くなってきた。
iPad世代に標準的なディスプレイをタッチする方法と、古来の物理的なキーの境界線としてちょうど良いのがMacBookのストロークなのかもしれない。
http://www.apple.com/jp/macbook/design/
もう1つ、慣れないことがある。それはキー(キートップ)が従来よりも大きくなったのだ。※一部表現を修正しました
Appleによると従来比で17%大きくなっている。これまでのMacユーザーにとってみれば、ファーストタッチ時はミスタイプが多いだろうし、複数のMacを併用する場合もその違いに混乱することになるだろう。
ただ、私の場合はこのMacBookがメインマシンになるのだから、あとは慣れるだけである。
このレビューを書いているとき、すでに私の指はMacBookのキーボードの配列を覚えているのだから慣れというのは侮れない。
感圧タッチトラックパッド
また、MacBook Pro Retinaディスプレイの13インチモデルとともに新しくなったのが、新たに感圧タッチトラックパッドを採用した点だ。
実はこの機能にとてもワクワクしていたのだが、実際触ってみると違いが全くわからない。そのような違いを知らない限り、何も気づかないだろう。
まず感圧タッチトラックパッドは均一に押すことができる。従来のMacBookのトラックパッドは四隅や端の部分を押すことは困難だった。それが「触覚的」な効果を与える感圧タッチトラックパッドでは可能になる。
感圧タッチトラックパッドでできることは多いが、なかでも辞書の呼び出しが楽になった。
これまでは単語を選択して右クリックするか、3本指タップか、もしくはコマンドを入力する必要があったが、このトラックパッドでは強く押しこむことで辞書をダイレクトに起動できる。※3本指タップを追記しました
感圧タッチトラックパッドの電源はMacの電源に連動するため、Macがパワーオフになったときはトラックパッドの「打鍵感」もなくなる。
なんとも不思議なテクノロジーだ。
限られたインターフェイス
MacBookといえば、新しく採用されたUSB-C規格のポートだが、御存知の通り1基しか搭載されていない。
さらに、従来はMagsafeを採用していた電源ですらUSB-Cを使用することになるため、ノートブックを充電しながら使用していると標準ではその他のデバイスを接続することはできない。なんと割り切ったデバイスだろうか。
どこからみても不便な設計だが、私が最初に違和感に感じたのはバックアップから復元するときだ。
Macを移行するとき、過去のMacのTime Machineのデータから復元させる方法が一般的なのだが、まずHDD等を接続するためのUSB-C to A変換アダプタが必要になる。MacBookには付属していないため、その時点でどうかと思うが、私としてはすでにGoogleのモノを買っていたので問題なかった。(→記事参照:Googleの「USB Type-C」規格準拠アクセサリを購入。)
だが、もう1つ必須なものがある。Appleが用意している「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」だ。
これがないと、HDDをつないでバックアップから復元中に同時にMacを充電することができない。復元は時間がかかるから不安で仕方ない。
しかもこの「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」、現時点で在庫がない。
いやいや、勘弁して欲しい。。
しかし、Apple的にはソリューションは既に用意されている。
例えば先ほどの復元の話は、ホームネットワークに接続されたHDDからWi-Fi経由で可能だ。
http://www.apple.com/jp/macbook/design/
また、USB-C to Lightningケーブルなどが用意されていないため、このMacBookは「史上初めてiOSデバイスを直接接続できないMac」のお墨付きを得たのだが、iTunes Wi-Fi同期があるよね、というのがAppleの答えだ。
iPhoneやiPadで撮った写真の同期は?というのは、OS X 10.10.3から置き換えられた「写真」アプリに用意されているiCloudフォトライブラリ機能を使えば編集後の写真を含めて常に同期することができる。
Appleが用意している最新のサービスをフル活用することでMacBookは通常運転してくれるのだ。
これがAppleの方針だ。従来通り「今のうちに慣れておいた方がいい。」
革新的な問題児
このMacは、Mac史上最高の革新的な問題児だ。
新生MacBookの初代機であり、USB-Cを全面採用(というか1基しかないが)した初のMacだ。非常に癖が強く、非常に賛否が分かれるだろう。
例のフレーズに沿ってこのように表現したい。
しかし、このMacを無視することは誰にも出来ない
何故なら、このMacは物事を変えたからだ
2015年初旬、MacユーザーはこのMacに挑戦状を突き付けられた。
薄型・軽量の新デザインでモバイルには適しているが、性能と拡張性の面では割り切った使い方を求められる。
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デザイン
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キーボード
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トラックパッド
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ディスプレイ
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パフォーマンス
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静音性
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バッテリー
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モバイル性
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拡張性
4件のコメント
いつもSOHさんとのポッドキャスト楽しく聞いています!
ところで、ParallelsでのOfficeアプリケーションは、ある程度快適にどうさしますか??
既にポチってはいるのですが、まだこの事について触れているレビューがないので・・・
ありがとうございます!
すいません、Parallelsは使っていないんです。ただ、Office for MacはWordとExcelは普通に使えてます。
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