レポート:KDDIの送り出すギーク向けFirefox OSスマートフォン「Fx0」
新たに「つくる自由」を掲げたKDDIのauスローガンは、オープンプラットフォームのモバイルOSである「Firefox OS」にとってお似合いと言える。この日、KDDIはかねてより明言していたFirefox OSを搭載した第三極のスマートフォンを正式に発表した。
発表されたLGエレクトロニクス製の「Fx0(エフエックスゼロ)」は、Firefox OSスマートフォンのためにイチから開発されたといって語弊のない、全く新しいデバイスで、他のスマートフォン以上によりギークな部分にこだわりを見せる。
スケルトンボディの筐体デザイン
まず目に飛び込んでくるのはオールスケルトンの外装カバーによって晒された各種基板類。Fx0は「ギークのために作られた」スマートフォンということで、そのデザインもかなり個性的になっている。
このスケルトンボディは、Firefox OSのオープン性を象徴しているとのことで、デザインを担当した吉岡徳仁氏にもそのコンセプトで話が伝わったそうです。
吉岡徳仁氏といえば、au design projectの「MEDIA SKIN」や、iidaの「X-RAY」のデザインでも記憶に新しく、特に後者はスケルトンボディで内面基板にもこだわった本当にクールなプロダクトだった。
その精神は今回のFx0にも宿っている。基板をも魅せるようにデザインされているため、本来隠れてしまう部分を美しい配置に仕上げている。
例えば、デバイスのボトム部分には無線アンテナが用意されているが、このうちの1つはバランスを考えて搭載されたダミーだそうだ。
本来ならば、全く用意する必要のない配列だが、見える部分に手を抜かなかった証のエピーソードの1つだ。
パーツにも圧倒的なこだわり
次に気になったのが美しいスケルトンボディにもアクセントを与えているデザインをあしらったホームボタン。
ホームボタン、よく見るとFirefoxのロゴ(フォックス)が立体的にプリントされている。
この部分を完成させるだけで10回のサンプルを出して、ファイナルまでに数百万をかけているとのことで、ただのホームボタンでさえ、開発陣のコダワリを感じさせる。
パーツへのコダワリはまだまだ続く。
上の写真がわかりやすいが、スマートフォン内部には多くのネジが使われる。Fx0では、ゴールドのスケルトンボディのためだけに同色のゴールドのネジを専用に製作し、色合せを重ねて最終的には通常の40倍のコストになったそうだ。
Fx0を購入したら、メインであるFirefox OSスマートフォンのソフトウェアだけでなく、ギークのために採算度外視で開発された外観もぜひ見て欲しい。
3Dプリンタ用データも公開
例えばこちらのFx0は、先ほどの写真とは異なる背面カバーを付けていて完全にスケルトンボディだ。
というのも、KDDIはFx0の背面カバー向けに3Dプリンタ用のデータを公開している。開発者だけでなく、プロダクトデザイナーも3Dプリンタを使ってオリジナルの背面カバーを作成できる、というのはこれまでにないスマートフォンの概念だ。
KDDIは何がやりたい?
さて、KDDIの田中社長はFirefox OSスマートフォンの市場投入について、自身の若いころを思い、最近のスマートフォンは完成しつつあり、開発者は飽きたらなくなったのではないか、として、もっと面白いカスタムできるスマートフォンの必要性を感じていた。
記者からは採算や敢えて投入する意義等を聞かれていたが、同氏はKDDIそのものが、かつてau design projectやiidaのようにこうした面白い取り組みがauファンに届けばいい、というノリでやっていてビジネス的なことは考えていない、と主張する。
また、開発者へのマネタイズ計画を聞かれると、「びっくらこいた質問」と表現し、開発者は少なくとも今の段階ではお金儲けではなく、こうできるようになったら面白いよね、といった純粋な気持ちで動いていると思っているとし、小さいころの作る喜びから動かしていこうと考えていると述べた。
オープンプラットフォームに、オープンな開発環境、その透明性を表したスケルトンボディに背面カバーの自作も可能になるオープンなデザイン、ここまでをトータルにKDDIは「つくる自由」を日本のギークにクリスマスプレゼントとして提供したと言える。
最近のコメント