中国共産党機関紙の人民日報の国際版・環球時報は、7月28日付で、Appleが「iPhone」などで個人情報を不正に取得していると問題視されていることに関連して、中国共産党員、国家公務員、国有企業幹部、および軍人らに対して、Apple製品の使用禁止を主張する専門家の論評記事を掲載しました。
記事によると、中国通信業界の専門家である项立刚氏は、Appleの位置情報取得技術について、顧客のプライバシーを侵害するだけではなく、国家安全保障や国家経済をも危険に晒すことは否めないと述べています。
その上で、安全保障を維持するための対処法として、中国共産党員ら国家中枢の人間に対して、Apple製品を使用せず、中国国産メーカーの製品を使用することを呼びかけています。
中国国内におけるApple製品のプライバシー問題を巡っては、7月12日に中国国営中央テレビ(CCTV)が、AppleのiPhoneが顧客の個人情報を不正に詐取していると名指しで批判しました。
CCTVの報道を受けて、Appleはわずか2日後の14日、Apple中国のウェブサイト上に中国語および英語で、位置情報の管理について説明を掲載しました。
Appleは「全てのお客様のプライバシーに深くコミットしており、個人情報保護は製品とサービスにあらかじめ搭載されている」とした上で、「多くの企業と違って、当社の事業は個人情報の大量収集に依存していない。当社は位置情報の追跡を行っておらず、今後も実施する予定はない。」と述べる一方で、Appleを名指しで批判したCCTVについて「当社が非常に重要だと考えるトピックについてのお客様の意識向上をサポートしたCCTVに感謝する」として、報道への謝意を記しました。
Appleは、2013年の中国国内における製品保証をめぐる問題と同様、中国と中国の顧客に対して最大限の配慮を見せましたが、今回の問題は簡単には収束しない様相です。
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