G Flex LGL23から考えるデザイン的合理性

1

DSC01913

 

携帯電話やスマートフォンは「デザイン」「使いやすさ」「機能性」「機能」といった分野の総合要素をベースに「これは良い機種」「これはダメ」と評価されることが多々あります。ただ、そこでは機能・スペックというのがあまりに過大評価され、軽さ・薄さ・ちょうど良さという、どちらかと言えばユーザビリティ的要素が置き去りにされる傾向もあるところです。

今回はスペックと言われる「機能」は抜きにして、デザイン+使いやすさ+機能性から見たスマートフォンデザインのあり方について、そのデザインそのものが特徴的な「G Flex LGL23」を例に、スマートフォン全体のユーザビリティについて考察したいと思います。

これから(1)〜(6)までの見出しでスマートフォンのデザインと使いやすさについてG Flexをベースにお話を進めていきます。G Flexのレビューも踏まえているので、軽い気持ちで読んでみてください。

IMG_8841

1. バックポケットに入れやすい曲面

これは、すでにLGエレクトロニクスとKDDIがうたっているように、G Flexの曲面ディスプレイは単に「曲がっているよ、すごいでしょ!」というだけではなく、人間工学に基づいた使いやすさに配慮しているそうです。「ホントかよ」と半信半疑でパンツのバックポケットに入れてみると、まあたしかにそれなりのフィット感ありました。おしりのカーブに沿ってG Flexが収まります。5インチクラスのファブレット(例えばGALAXY Noteなど)に比べるとよほど6インチのG Flexのほうがかさばらない感じです。

実はこのデザイン上の「配慮」は様々なところにつながります。

 

IMG_8838

2. 背面に各種ボタンを集約

G Flexの側面にはボタン類が一切ありません。スマートフォンではiPhoneを含めて、側面にボタンを配置するのが通例です。LGは、昨年のLG G2から背面部分にすべてのボタンを集約しました。実はこのボタンインターフェイスにも「配慮」ゆえの合理性が伝わります。

使ってみて初めて気づくことですが、背面にボタン、というのは使い勝手が非常に良いです。というか、これまで側面にあるボタンを押していたこと自体が非合理的だったとも言えます。

前述のように、G Flexはバックポケットに入れることを暗に推奨しています。この大きさなので、確かにそこ(あるいは胸ポケット)が最適でしょう。一方、ポケットに入れていて手探りでボタンを押すシチュエーションは、たいていの場合は聴いている音楽の音量を調節するときです。バックポケットに入れたG Flexは、曲がり方により必然的にボタン側が外側に向きます。つまりポケットに手を入れなくても、音量調節にダイレクトにアクセスできるのです。

単に「曲面」「人間工学」という言葉を並べているだけではなく、こうした細かいところにデザイン上の「合理性」が伴っているように思えます。

背面ボタンの合理性については手に持っている時も同様です。この大きさになると、iPhoneのように側面上部にあるボタンには手が伸びません。人差し指でちょうど当たる(支えている)背面部分にウェイクアップボタンがあります。もっとも、この機種のディスプレイ点灯についてはディスプレイをダブルタップするだけでokなので、その必要性すら感じられなくなります。こちらはUX側の合理性ですね。

IMG_8860
3. ウィンドウケースの合理性

LGがオフィシャルで出している専用ケースにも実は「おっ」と思わせる仕組みが含まれています。デザイン面ではディスプレイも保護するフォリオ型ケースで、機能面はマグネットによるディスプレイ自動消灯/点灯、ディスプレイ側に設けられた小窓と連動する「背面ディスプレイ」的なUXが特徴的です。この小窓をダブルタップすることで閉じたままでも「時計」「天気」「音楽」「着信応答」が出来るようになっています。

このケースを利用するときは当然ディスプレイ側を背面に折り返すことも想定できますが、例の小窓部分はちょうど背面のカメラやボタン類に合うようにデザインされています。折り返しても音量調節やカメラを遮らない、ユーザーに無駄なアクションをさせない、合理的なデザインと端末の連携に仕上がっています。

 

IMG_8749

4. その他の良い例・悪い例

今回はG Flexを例にデザインの合理性について考えてみましたが、その他のスマートフォンでも革新的だと思うことは多々あります。反対に「これはいただけない」ということも。

例えば、すっかり国内を制覇しちゃった感があるiPhone。基本的なデザインは2007年の初代から変わっていません。ディスプレイにホームボタン、左側面にマナーボタンと音量調節ボタン、上部にスリープボタンがあります。このなかで特筆すべきは、ホームボタンのへこみです。

本来なら誰も気にしない地味なデザイン上の配慮ですが、これにより恐らく数多くのユーザーの誤操作を防いでいるのは確かです。誰かが「ボタンをへこませるデザインはiPhoneが初めてだ」的なことを言ったくらい、画期的なデザインだと思います。

逆に悪い例としては最近の某国内メーカー製スマートフォンでありがちな音量調節ボタンのタッチセンサー化。もともとAndroidスマートフォンの大半は音楽再生に不向きor乗り気でないと思っていますが、ここまでされると「音楽はもう聴くな」と言われているようなものです。

「余計なボタンを排除して美しさを追及」などと尤もらしいことを言いがちなシチュエーションですが、そのデザインにはユーザビリティや合理性というユーザー目線の論理はデザインの名の下に全く排除されています。

 

gflex5

5. しかし曲面ディスプレイは流行らない

せっかくG Flexのデザイン的合理性を褒めておいて最後に残念なことを言うようですが、結局のところスマートフォンで曲面ディスプレイは流行らない、に強き1票です。理由はいくつかあり、大きく、1)絶対的必要性がない、2)スマートフォン自体の機能性に影響が出る、3)女性受けしない、という点が強いからに他なりません。

1)については将来にわたって必要性は出てきそうもありません。それは3Dテレビと似たような感じです。人類が「まっすぐなモノ拒否!」とストレートなモノに対して嫌悪感を抱くようにならない限り、敢えて曲面にする必要はありませんし、メリットも数えるくらいしかありません。単にストレートに対する曲面というバリエーションとして(かろうじて)存在していくだけだと思います。

2)についてはG Flexのディスプレイパネルがそれを証明しています。6インチながらわずか720p(1200×720ピクセル)というのは、ファブレットとしては粗さが目立つ解像感。さらに有機EL、しかも極めて質の悪いプラスチック有機ELです。視野角は広く、発色も悪く無いですが、残像とノイズが目立つため評価は5つ星中の1つ以下だと感じました。これらも全てディスプレイをストレートにすることで解決するので、つまり曲面のために犠牲にした部分となります。

3)が実は一番大事。この世の中、女性の支持を得られないモノは基本的に普及しません。最近ではスマートフォンのフロントカメラはメイク直しなどのコンパクトミラーとして使われることが多々。そこまでなくとも、ディスプレイ消灯時にミラー代わりにスマートフォンを使った経験がある方は性別問わず多いのではないでしょうか。曲面ディスプレイはこのニーズを完全に逸失しています。自分の顔はエフェクトのように歪んでしまいます。まずもって普及の可能性は低いと感じます。

 

kyl22

6. 結論

G Flexを中心にプロダクトデザインの合理性について連ねてきたわけですが、多くの携帯電話はカタログを見ると「使いやすさに配慮」「先進的デザイン」「人間工学」「なんとかかかんとか」と聞こえのいい言葉を並べていますが、私が本当に使いやすいスマートフォンや携帯電話と感じるものは10機種買って2〜3機種あれば良い方です。

そういった意味では、G Flexは(さまざまな不満はあれど)そのなかに含まれ、当然(さまざまな不満はあれど)iPhoneもそのなかに在るわけです。以前、京セラ製スマートフォンをレビューしたことがありましたが、実は最新の「DIGNO M KYL22」なんて、名機なんじゃないかと思っているくらい、初めて京セラスマートフォンに手が出そうです。

思えば、京セラは地味にも2013年の国内における携帯電話とスマートフォンの販売台数でサムスンを抜き去りました。(参考記事

デザインやUXは一日にして成らず、地道な努力が報われる隠れた良い例もあるんです。

 

Share.

About Author

Ryu

RINGO-SANCO オーガナイザー。ガジェット好き。携帯電話を専門に、Appleのスマートフォン戦略やその他のメーカーの動向を追いつつ、様々なスマートフォンをレビュー。ポッドキャスト「ミリオン・ドッツ」メンバーも務める。

1件のコメント

  1. Pingback: 【りんごリンク】G Flex LGL23から考えるデザイン的合理性 他 (2014/2/10) #applejp | Blog!NOBON+

Leave A Reply